【5】リモートだけで本当に充実した教育ができるのか?

【5】リモートだけで本当に充実した教育ができるのか?

(1)30年前の強烈なリモート体験

「リモートだけで本当に充実した授業が出来るのか?」

このご質問にお答えする前に、30年前の私のリモート体験のお話を聞いていただこう。それはまだ私がまだ24歳頃の松下政経塾時代の出来事だった。その頃、米国ワシ ントンD.C.で企業研修していた。お世話になった企業というのが、当時、有名なメタネットというオンライン会議を一番の売りにしていた研究機関(シンクタンク)だ。当時は文字だけの会話で、今日ほど技術は発達していなかったが、そんな中でも全米中、全世界中をネットワークして、多くの専門家、プロフェッショナルが衆知を集める画期的なものだった。彼らの合言葉は一般によく言われる「Give and Take」ではない。

「Give andGiven」、「自ら進んで皆のために貢献しなさい。そうすれば必ずあなたも親切にされ自然と与えられます。」という言葉だった。ここでは単に知識や情報をやり取りするだけ でなく、全く目の見えない盲目の会員であっても暖かく迎えられ、まるで家族のような信頼感と強い絆で、継続的に結ばれていた。彼らは全世界に分散していて、実際に会うことは出来なかったが、しかしオンラインを通じた彼らの繋がりは極めて強いものだっ た。これが今日のようにSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)が流行る30年も前のお話だというから驚きである。

(2)リモートだけでも人間的な強い絆は出来る

面と向かって直接会うことはなかった。しかし居ながらにして、地球の裏側の人たちと毎日やり取りする中で、家族のような強い絆がうまれた。この時の体験が私のリモートの原体験となった。だから「リモートだけでも人間的な強い絆は出来るのか?」と聞かれた ら、自信をもって「はい。できます」と答える。このようにダイブツ塾の目指すネットワークは単に遠隔地で好きな場所、好きな時間に学習し、議論できるというだけのものではない。 最終的にはそこに集った人間すべてが、直接会うことはなくても、深い議論や対話、 ディベートなどの切磋琢磨を通じてお互いに信頼関係で強く結ばれ、助け合い、多くの価値を共有し、共に創造しうる、「極めて人間臭いネットワーク」である。

(3)仕事を持つ多忙な社会人には最適

私の信念は、『ダイブツ塾のように経営者教育のような実践教育は、あくまで仕事をしながら、汗水たらして、”泥臭く”身体で学ぶ必要がある。』というものだ。しかし一方で、 ただでさえ忙しい仕事を持つ社会人が学ぶとなると大変な困難がある。そこで自分の好きな時間に、いつどこでも学ぶことが出来、また何度でも繰り返し、繰り返しじっくりと見直すことが出来る。自分のペースに合わせて進められるダイブツ塾のシステムは最適だろう。さらにこれは私事だが、今後年々老いていく、講師である私自身としても、若くて一番勢いのある時のベストな講義を記録し、塾生の皆さんにいつでもお見せできるのは願ってもないことである。いつでも最高の状態の講義が出来るのは、素晴らしい。だからダイブツ塾は、リモートだけでも本当に充実した授業が実現できるのである。


第三章「建塾物語」


この記事を書いた人