【4】オールリモートの完全コロナ対応プログラム

【4】オールリモートの完全コロナ対応プログラム

(1)新型コロナのもうひとつの影響

もう一つ新型コロナの影響を受けたのは、感染対策上、直接会って授業を行うことが難しくなったこと。また一方でなんでもリモートで実施するリモート革命が社会の随所で浸透し、社会的インフラとして定着したことだった。当然ダイブツ塾の設計思想も大きな影響を受けた。もともとこの塾は自学自習のe-ラーニングをベースに考えられていた。これは次にお話しする私のあるクライアント先で行った実験による。それまで一番デジタルには不向きと思われていた営業分野の、それもセールストークなど、心理面でのやり取りが中心の、「営業スキル」のセミナーをe-ラーニングに全面切り替えしたのだった。勿論当初反対する人間は多かったが、それを押し切って実施に踏み切った。

結果は予想外の大成功だった。生徒たちはそれまでの受け身の姿勢から積極的な前向きな姿勢に変わり、自分自身で動機付けもするようになった。さらに意外だっ たのは平均点が大幅にアップしたことだった。そして最も懸念した落ちこぼれる人間も出なかった。e-ラーニングを始める大前提として、生徒本人にもその上司や先輩にも十分な説明と動機づけを行ったことが大きかった。勿論、教材は動画をふんだんに用い、自主学習向きに作り直したことが功を奏した。この時「e-ラーニングいけるぞ!」と私の中に確信が芽生えた。特に仕事を持つ社会人を主とするダイブツ塾では絶対にe-ラーニングで行こうと。

(2) e-ラーニングの欠点

このように大変すばらしいe-ラーニングだったが、一方で欠点も存在した。それは e-ラーニングだけだと、どうしても一方通行の受け身になってしまうということであった。 これなら通信教育と変わらない。塾というのは、そこに集ったもの同士の切磋琢磨や強い絆が生まれてこそ意味がある。ならば双方向でコミュニケーションを行う必要が ある。自学自習のe-ラーニングと双方向のツールを組み合わせるという構想だった。

そこで考えたのが、パソコン同士をインターネットで結び、画面を通して互いの顔を見ながら会話できるWeb会議だった。ただこうした構想を持っていたころは、まだWeb会議は一般的ではなく、どこの会社の製品を選ぶかも難しかった。

(3)リモート社会がもたらした恩恵~Zoomの選択~

ところが先の新型コロナの大騒動のお陰で、本当にわずかな期間で、見る見るリモート社会が進み、今やもとに戻ることはないだろうというくらいに社会的に広がっ た。その中で特にZoomが世界的にNo.1のシェアをとり、「Zoom飲み会」などと呼ばれる社会現象にまでなった。このことでダイブツ塾の構想は一気に現実的になった。 なにしろリモートが社会的なインフラにまで成長してくれたこと、Zoomがその中の定番として認知され、世界中にユーザーが広がったことで、迷うことなくZoomを採用することが出来た。

(4)オール・リモートの完全新型コロナ対応プログラムへ

ただそれでも、対面の要素は最後まで残しておきたかった。実際に一つの場所に集まり、顔を合わせることは必要だろうと。しかし、この構想も新型コロナに打ち砕かれた。 次々と進化する変異株が間断なく登場するようになると、もはやワクチンですら絶対と は言えなくなってきた。さらに自分が透析患者であることもある。基礎疾患のある患者は新型コロナにかかると重症化しやすく、死亡する確率が一気に高まった。なかでも 透析患者はもっとも重症化しやすく、「かかれば即死亡」とまで言われるほどリスクが高かった。そこで思い切って決断することにした。「ダイブツ塾はすべてリモートで行こ う。オール・リモートのダイブツ塾だ」と。


第三章「建塾物語」


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