【1】改革できる経営者を育てたい

【1】改革できる経営者を育てたい

(1)改革一筋30年の歩み

「改革できる経営者を育てたい」。30年間、経営改革一筋に来た塾長、 宇佐美泰一郎の心の叫びだった。父の会社が倒産し心の傷を負った彼は、「どうしたら潰れない本物の会社ができるのだろうか?」といつしか 「経営の本質」を追求するようになっていた。「やるからには経営の神様の弟子になり本質を極めたい。」 と大学卒業後は松下政経塾へと進む。 そして師匠・松下幸之助のある一言が彼の人生を決定づけた。「経営の本質を知りたければ、立て直し(改革)をせよ」と。この教えに従い、彼は以後30年間、経営改革一筋の人生を歩んできた。

(2)なぜ、改革できる経営者を育てたいのか?

思えば彼の改革人生は平たんな道のりではなかった。改革を依頼され、戦略とプランを練り、いざ着手となっても社内は全く見向きもしない。トップもトップでどこか他人事で危機感が感じられない。しかしこんな時彼はかつてのトラウマが頭に蘇った。「このままいけばこの会社は倒産する!」と必死になっていた。やり方が分からないと言えば改革のやり方を説明し、その気のない人々にはこちらの気を伝え、反対する人間は説き伏せ、逃げ出すトップには首に縄をつけ、怒鳴りつけてでも、その気にさせようとした。そして少しづつ組織は動き始めるのだが、最後の壁がなんとしても突破出来ない。クライアントの評価は高く、プロジェクトは成功しても、倒産を身体で知っている彼には心底納得できる結果ではなかった。こうした心の苦しみが彼を覆い、30年間どんどん大きく積もっていった。「改革できる経営者がいればな。。。」から、やがて「自分の手で改革できる経営者を育てたい。 松下幸之助や本田宗一郎のような本物の経営者をこの手で育てたい。」という強い志へと変わっていった。


第三章「建塾物語」



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