まえがき2002年8月17日
バブル経済の崩壊後、多くの企業で経営再建が行われています。リエンジニアリング、リストラなどの言葉が新聞やラジオで頻繁に語られ、書店に行けば所狭しと『○○革命』などと称したビジネス書が並べられています。 しかし、実際の経営の立て直しの現場にいると、そのような手法や理論で決して解決つくような簡単なものでないことを痛感します。表面的に取り繕ったり、現象面で現われた問題解決はできても、その本質までは簡単に解決つかないのです。そしてまた今私たちが直面している課題は、まさに本質までさかのぼらないと解決のつかないものばかりなのです。 その時に、ぶつかる壁は、まさしく『人』であります。『事業は人なり』は古くから言い伝えられておりますが、これ程混迷を究めた時代にこそ、この言葉の重みが改めて強く感じられるものです。 改革の理論や手法以前として、「改革できる人がいるか」ということです。 筆者の師であり、「経営の神様」と呼ばれた故松下幸之助翁が松下政経塾においてその弟子たちに最初に語った言葉は、「素志貫徹の事〜常に志を抱きつつ懸命に為すべきを為すならば、いかなる困難に出会うとも道は必ず開けてくる。成功の要諦は成功するまで続けるところにある。」でありました。つまり「志なきところ、成功への道は開かれず」なのであります。 そこで、本書の目的は『人生の生き方を深めたい』、『改革のリーダーとして腹を決めたい。』、『自分をかけた新しいビジネスや事業を始めたい』などといった人達を対象に、まさに『志をたてるには具体的にどうしたらいいのか』をよりわかりやすく伝えることが目的であります。
なお、本書は第一部として要旨の骨格を簡潔なレジメとして最初にご提示しております。次に第2部では、それに基づいて京都政経塾での特別講義の速記録を、そして最後に私事で大変恐縮ですが、筆者が自分の志をどうたててきたのかをよりよくご理解いただくために、資料を添付いたしました。本文を読まれる際のご参考に供せれば幸いです。
最後に、この本をまとめるにあたり、講演の機会を作っていただいた京都政経塾の甲斐塾頭をはじめ塾生の皆さん、また本書の編集構成で何日も徹夜で手伝っていただいた池田武氏にはこの場をお借りして深い感謝の意を申し述べます。 京都政経塾 特別講議(速記録)
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