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終わりに

 私たちプロジェクトメンバーの中には、いわゆる技術者は存在しない。皆が経営学部の学生であり、専門知識を身に着けている者は一人もいなかった。それが、「経営の本質」を学ぶという共通の目的の為にホームページづくりをする決意をし、右も左もわからない中でも懸命に取り組んできた。その原動力は、今思えば自分の学びのためのみならず、自分たちの作るホームページによって困った人たちを助けたいというところにあった。これがあったからこそ地道な作業もあきらめず取り組み、少ないながらも知識や技術を身につけようと努力したのである。一人では到底成し遂げられないからこそ、メンバー同士で力を合わせたり、様々な人の力を借りたりしたのである。私たち学生の真の学びは、知識や技術を身につけけることだけではない。「人のお役に立つために、自ら考えて行動する」という意識そのものである。この学びの成果が真に発揮されるのは、私たちが社会に出てからであろう。本当の成長は意識を持って取り組んだ先にある、ということを忘れず社会に出ていきたい。

 成果といえば、私たちが生み出したホームページの成果もすぐには出ないだろう。今までにない「新しい価値」を持つホームページを作ろう―。それは、技術者が中心になって行われる現在のホームページづくりを変え、新たな制作方法を1から生み出すという取り組みであるとも言えた。メンバー全員が手探りで次に進むべき道を模索し、少しずつ世界一のホームページを形づくっていく。それは非効率的で、無駄と思える時間も少なくないかも知れない。それでも皆懸命に物事に取り組むのは、その先に、自分たちのホームページが全世界にいる困った人たちを助ける、という明確なビジョンがあるからである。それに向かうための行動であるならば、たとえ多くの時間がかかってもそれは無駄な時間ではないのである。新たな価値の創出も、人の成長も同じではなかろうか。私たちは、「経営の本質」を身をもって学ぶために約2年、大学生活の半分の時間をかけてプロジェクトに取り組んだ。仮に私たちが学んだ経営に関する本があったとして、それを読んで覚えるだけならばおそらく数日もあれば充分であろう。あまった時間は、いくらでもプライベートな時間に活用できる。しかし、ひとたび学業から離れれば知識を忘れるのもまた早いのである。私たちは、約2年の間に様々な壁にぶつかり、そのたびにどうすればよいのかを考えてきた。その中で得た気づきは、必ずこれかも自分たちの中に活き続けるであろう。それが何年か先の自分の成長につながり大いに世の中に貢献できるようになれば、この2年間は決して無駄な時間ではなく、知識しか得てこなかった人たちよりもむしろ有効な時間を過ごしたと言えるのである。決して知識を得ることを否定しているのではない。ただ、人が本当の意味で成長したり、今までに無いものを生み出して誰かに喜んでもらうには、長い時間をかけて何かを考え、体得することも非常に重要であるということである。

もし何かを成し遂げ、人の役に立つことがしたいというのならば、苦労を恐れて結果や答えを急いではならない。壁にぶつかったときにどのように乗り越えていけばよいのかを考えたり、今までにないものを生み出そうとする取り組みには、必ず多くの時間がかかるのである。それは決して無駄な時間ではない。もし無駄な時間になるとすれば、そのような取り組みを途中でやめてしまい、その経験をなんらかの形で活かすことをあきらめてしまったときである。志を高く持って物事に取り組むこと、人に喜んでもらいたいという思いが大きな原動力となること、壁にぶつかったときこそ人と力を合わせて最後まで全力をつくすこと、そのような大切なことを「世界一のホームページ創出プロジェクト」は教えてくれた。その意味で、私たちは非常に意義のある時間を過ごせたと思う。今回のプロジェクトは、世界一のホームページをつくるということだけではなく、どんな本を読んでも得られない学びを得られた世界一の学習の場であったと確信している。今後も第二期、第三期と開発を重ね、ホームページは進化していく。進化したホームページが世界中にいる問題を抱えた多くの人たちを救ってくれることと共に、進化に費やした時間がこれからホームページづくりに取り組む人たちにとって、最高の学びの時間となるように強く願うものである。たがいの幸福の実現こそが「経営の本質」なのである。

以上

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