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問題解決力強化で経営幹部を効率的に育成

(総合エレクトロニクスメーカーM社)

『人材の枯渇こそ経営破綻のもとだ』

 『昔は経営の目利きが大番頭の役割を果たしていて、それがネットワークを作り会社の神経網の役割を果たしていた。しかし今はそういう人材が枯渇してしまっている。これこそ経営の最大の課題だ。』経営責任者会議での社長の発言は社員全員の度胆を抜いた。業界でも一、二を争う人材の宝庫であり、「人を大切にする」企業として自他ともに認めていたからである。

総合的な人づくりが中期計画の柱に!

 この日から全社の最大の経営課題の柱が「人づくり」になったのである。OJT 、Off JTだけでなく人事評価や育成異動など総合的な見直しが始まった。そして「いかにして経営の目利き」「大番頭」を育てるかがゴールである。連日の会議の末、「自ら主体的に問題を発見し解決へ動ける行動力を持った人間」という一つの理想像を生み出した。キーワードは「問題解決力」である。

問題解決力はどうやって育成するのか?

 一口に問題解決力といってもどのように育成していっていいのか?昔からある問題解決手法を教える事とも違う。実践的でまた実行力を伴うものでなければならない。この難題を前にして、改革請負人に依頼があったのである。「他社にはない当社独自の問題解決力を持った人間をいかに育成するか、その具体的なカリキュラムづくりに協力していただきたい。」このことは「経営力」という深い意味に置き換える事も出来る。

「立て直し」にこそ経営を知る秘訣がある

 かつて経営の神様、松下幸之助は「経営の奥義を知りたければ、立て直しを経験するに限る。その中にあらゆる経営の要素がつまっている」といった事がある。実はこのカリキュラムづくりのプロジェクトではこの「立て直し」を経験させることにしたのである。つまり各事業場の選りすぐりのメンバーを選定し、それぞれの抱える経営改革課題を持ち寄り、4、5人集
めてベテラン経営者の下に張り付け、1年間かけて「立て直し」を実行するのである。この少人数でベテラン経営者と塾形式の対話が「経営者」としての生きざまや心構えを深く伝えることが出来るのである。またより一層の教育効果も考えて、コンサルタントの持つ問題解決の実践的なプロスキルも並行して教えたのであった。

真の経営者は自分で自分を育てる

 この企画は予想をはるかに超えて成功した。以下は1年で5億円のコストダウンに成功した受講生の言葉である。「真の経営者は誰かに教えられて育つものではない。自分でコツを掴むしかないのだ。つまり自分で自分を育てる。今回のプログラム期間中、自分でも驚く程本を読んだ。それは周りとの無言の競争もあり、また自分自身を乗り越えようとするもう一人の自分がいるからだ。本当に必要なのは誰かに何かを教えられるのではなく、互いに切磋琢磨できる、そして自ら主体的に研鑽できる効果的な「場」が必要なのだ。このプログラムはそういう意味で本当に良く出来ている。」と。

昇格人事とのリンクで飛躍的な効果

 後にこのプログラムではMBAのプログラムを応用し、戦略立案、マーケティング、財務管理などの経営者として必要な基礎的な理論もセットで
教え、より経営者教育を意識して総合化していった。さらに昇格試験とのリンクは非常に有効だ。
受講生は昇格対象者を選び最終成果発表会では、人事面接もかねて行うのである。「人間ニンジンがぶら下げられると現金なもので良く走るものだ。」とは発表を聞いた人事責任者の言葉である。人を育て同時に具体的な成果も出す。まさに今日の経営ニーズに直結している。

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