トップ / 改革事例集 / テーマ別改革事例一覧


10年遅れた改革意識を若手の成長で巻き返し

(電力会社T社)

「あなたのところは10年は遅れていますね」

 規制に守られ独占的な商売を展開してきた電力会社。しかし規制緩和の波は予想以上に激しいものだった。市場競争の自由化、新規参入業者の参入、外資の参入、地域独占の崩壊は今まであんのんと殿様商売を続けてきた彼等にとってまさに晴天の霹靂であった。「そうですね。率直にいって10年は遅れていますね。」T社のグループ全体の教育訓練を総括するA女史は外部の講師にそう告げられると無性に悔しさが込み上げてきたのであった。「確かにおっしゃる通りでしょう。でも外の人にいわれると何かしゃくじゃありませんか?あんたに言われたくないわよって。」勢いまくしたてたかと思うとこう続けた。「それに意識が古いのはお年寄りの幹部の人たちで、若手は危機感をもっているんですよね。研修でも目の色が違いますし。彼等の潜在的な力や可能性に託すほかないのかしら」A女史の愛社精神とも意地とも取れる熱弁に改革請負人も一晩つきあったのである。

今の研修講師はなってないわ!

 数ヶ月経っただろうか。A女史から挑戦的な依頼があった。「どこにもない研修をやって下さい。」突拍子もない依頼である。「まあまあそう焦らずに。ゆっくりお話下さいよ。」そういうと少し落ち着いたのか子細を話しはじめた。「あれから私色々考えましたの。10年も遅れた会社で一体私に何が出来るのかって。そうしたら色々考えが浮かんできて。まずは私の仕事のグループ企業の人材育成ですけど、根本的におかしい事に気がつきましたの」これは興味深い発言である。私も続きを聞きたくて身を乗り出した。「そもそも今の研修って10年一日のような内容を毎年繰り返すだけですよね。普通どこの企業も日々技術革新やコストダウンを行ってようやく成り立っているのに、この業界にはそれがないわ。受講生だって忙しい中を研修に出てきてくれるんだから、それなりの成果やお土産がなかったら来ないですものね。研修講師もたるんでいるのよ。」彼女の怒りはなかなかおさまらなかった。
 「実践的で現場で役にたつ、どこにもない研修ってお願いできませんか?研修なんていう言葉は生温いかも知れませんね。そうね、修行道場のような。。。。。。。」さてこれもまた大変なテーマである。

実際の改革のドラマを教材にしよう

 早速2日間の「経営改革セミナー」を実施する事にした。それではA女史の宿題にどのように答えたのか?このセミナーの目玉の一つが、改革事例演習である。これは改革請負人が過去実際に行った改革をそのまま教材にしたもので具体的に改革のスタートから、メンバー選定、プロジェクトの立ち上げ、妨害者の説得、抵抗勢力との対決などなど実際におこった事をドラマとして再現したものである。受講生はこの改革ドラマの主人公として個々のステップ毎にどのように行動するか、じっくり考えまたチームのメンバーと討議しながら色々な発想を学ぼうというものである。

「組織の利害対立を解決する方法」を述べよ!

 『これよ。そうよこれなのよ。私が望んでいたのは』休憩時間にA女史が小躍りしながら駆け寄ってきた。「これは実践そのものですから。受講生の目つきが違うわ。作り物じゃない、どろどろとした現実にもマッチしているし。最後の組織の利害対立を解決する方法なんてもう最高。こんなのどんなテキストにも書かれていないものね。今日参加した人はこれを聞けただけでも十分元を取れたんじゃないかしら!?」10年遅れた改革意識をこの実践研修でまず若手から火をつけグループ全体に広げていく、彼女のシナリオは始まったばかりである。

ソリューションサービス 経営改革セミナーへ

改革事例集に戻る