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2-9 オンライン・コンサルタント

 さて、それではこれら三つの事業分野に関して、一体どのような形でバソコン通信を使っているのか、ご紹介していきたいと思う。
 まず初めの組織問題に関するコンサルタントの分野である。これは先にも述べたが、フランク社長の専門分野である。当初5年間、この企業を興したときもフランク社長一人でこのコンサルタントから始めたのである。
 彼は、まずネットワーク作りの手始めとして、デルタフォース時代の組織問題、OTを扱っていた仲間達とのネットワークから始めた。今現在の会員の約3割近くがこの当時の組織問題の専門家集団である。彼らは、この組織問題に関する会議を、メタネットの上で開催している。各会員の方も独自の理論を以てピジネス・コンサルタント、あるいは企業内コンサルタントのような形でそれぞれ活動しているだけに、それぞれの研究や理論についてぶつけたり、話し合ったりする絶好の機会でもある。
 フランク社長にとっても、常に最新の理論を討議し、専門家をネットワークすることによって、有形無形の大きな利益を得ていることになる。彼は毎年、各国持ちまわりで、このOTに関する国際会議を主催して、常にこの分野におげる世界の指導的立場を保っているのも、このネットワークがもたらす恩恵の一つである。
 専門家が、最新の理論をぶつけあう場として、パソコン通信、ネットワークを用いる、言い方を変えれぱ常設の「学会」のよう
なものが、組織されるということであろうか?
 各会員もまた、メタネットの会員であることによって、自分の専門分野に関して、常に先端の情報が入手でき、自分の理論が広く受け入れられる受皿があることは大きなメリットでもある。
 会員の一人で、組織問題の研究家として知られるハリソン・オーエンさん。彼は、このメタネットを駆使して大変ユニークな仕事をしている人でもある。彼は仕事柄いくつもの会社のコンサルタント、顧問を行っていて、かつては全米中を忙しく飛び回らなげればならなかった。というのもコンサルタントの仕事というのは、会社の都合でいつ相談が持ちかけられるか分からない。しかも受け持っている会社は、数も多くどうしても移動がつきものであった。
 しかし、彼は数年前から自分のお客さんの会社の人たちにも、このメタネットの会員になるように進めたわけである。そして、このメタネットを仕事の道具として使い始めたのである。
 仕事上の一刻を争う意志決定の際にも、このメタネットを使ってお客さんは、ハリソンさんに電子メールで質問や相談を行うことが出来る。勿論電話のように、時差も関係ないし、長距離電話のような料金はかからない。
 しかもハリソンさんは、毎日お客さんからの質問には、やはり電子メールで返事を書いて送っているので、手紙のように返事が遅れることもない。また特定の人宛てに親展でメールは送れるので、秘密が漏れる心配はないというのである。
 このシステムを仕事に導入するようになって以来、ハリソンさんの日課は、朝オフィスについたらメタネットにメールが届いているかどうかのチェックから始まるようになった。
 こうしたオンライン・コンサルタントというのは、何もハリソンさんだけでなく、最近は交通の便の悪い片田舎の会計士の方が全米中から、色々な企業と契約し、会計のデータを電子メールで送ってもらい、それを整理・チェックして再び相手企業に電子メールで送り返すとい、オンライン会計事務所などのような形でも行われている。
 これは弁護土や経営コンサルタント、会計士のような「知的情報をお客さんに売る」ことを仕事としているような人々にとっては、離れた所からでもお客さんと対応が出来ることから日本でも大変に応用範囲が広がると思われる。

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