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改革の志の立て方骨子

第1章 改革テーマの選定

1−1 改革テーマ選定の成功条件

(1)本当にやりたい事?
 具体的な着地点をイメージし、本当にワクワクし興奮し楽しくなるか?
(2)社会が求めている事、喜ばれる事か?
 そのことは、周りの人に喜んでもらえることか? 広く社会にお役に立つ事か?
 そして時代の先駆けになることか? また世界に向かって広がりを持つことか?
(3)現実に出来る事?
 あとは現実的に着地までどう進めるか? 金・人・情報・時間の組合せ。
 本当に実現できるの? 具体的に何をするの? 5W1Hの明確化

1−2 改革テーマのまとめ方の構成(ハンバーガー理論)


ハンバーガー理論とは、パンとパンの間にハンバーグを入れると、もとの素材より、より美味しくなることから来る。つまり具体的な取組み(ハンバーグ)をそのテーマの時代的、社会的背景や意義そして波及効果など(パン)で挟むとより効果的である。

1−3 課題の種類と留意ポイント

A.発生型の課題
 ゴミ問題、 放置自転車問題など、誰もが目で見て課題として認識できる課題。しかし、原因が複雑だったり、有効な策がないなどで解決の決め手がない等のテーマ
 →具体的・効果的な処方菱と、その実現。(政治・行政型)
B.提起型の課題
 寝たきり老人、中国帰国者など特定の人にだけ課題認識があるテーマ。課題自体は目で見て理解できるが、一般の人は関心がなく事実を知らない、課題の意義がわからない。
 →実態をわかりやすく表現し、意義を訴え意識改革を起こす。(マスコミ型)
C.形成型の課題
 環境問題や高齢化社会の問題など、予想される課題だが今現在では、一般に実感が薄く、どんな問題が起こるのか、何をすべきか解決策すら、予想出来ない課題。
 →先端事例の研究、課題の形成、成功事例作り、事例啓蒙。 (市民改革型)

第2章 改革テーマのまとめ方

項  目

    着   眼   点   ・     評 価 ポ イ ン ト

背   景

・時代的要請  一 テーマが新しい時代変化をとらえているか?

・社会的要請  一 社会全体の課題、地域の課題を的確にとらえているか?

・国際的要請  一日本のみならず他の国々にも広がることか?

・文化的要請   日本の文化、地域の文化を踏まえているか?

意   義

・独自性 一自分の持ち味や能力をいかし、他人のやっていない自分だけのものか

・具体性 一目で見てわかる、形にできる、誰でも納得できるものか?

・道具性(プラグマティック)− 『それやってなんぼのもんじゃねん?』

・実現性 一 定められた期間までに着地できるか?

・効果性 一 本当に社会を変えるインパクトになるの?自己満足で終わらないか?

 目   的

・戦略性一人脈、資金、情報収拾力など持てる資源をターゲットに集中できるか?

・ストーリー性 一ホップ、ステップ、ジャンプのシナリオはイメージはあるか?

・訴求カ — 多くの人を巻き込み、協力を得られやすい、魅力ある、夢があるか?

手段・方法

プロセス

・プロジェクト管理−5W1Hの明確化と、資源(人・物・金・情報)調達、活用

・PR・宣伝・啓蒙 一賛同者、協力者を得ろ。オピニオンリーダー、マスコミ活用

・既存組織の連携活用一推進のパートナーを捜し、提携して進める。

・専門家の巻き込み −テーマについての専門家とプロジェクトの進め方の顧問

成   果

(アウトプット)

・メディアによる情報提供型(論文・雑誌投稿・テレビ・ラジオ)

・イベントによる巻き込み型(フォーラム・シンポジウム・勉強会・研究会)

・成功事例づくりによる直接改革型(自分でやる、ノウハウを指導する、事例紹介)

・継続的組織化型(認可法人設立、認可団体、企業設立)

・行政執行型(窓口対応の改善、法律化・条例化、予算化)

波及効果

・再生産性一 成果が新たな資源を生むか?(事業収入、社会的評価、人脈拡大)

・継続性 一 一過性のお祭りで終わらず、次に活かせるか?

・発展性 一 他の人がまねたり、他の地域に広がったり、他のテーマへの応用?

・蓄積性 一 活動ノウハウ、成果が記録され、次に続く人に伝達できるか?

今後の課題

・自己成長性一活動を通じて自分がどう成長するか?

・人生テーマ創出性 一 一生を通じて追求してみたいテーマがみつかるか?

・キャリア開発性一将来の自分のキャリア(仕事、能力開発、商売、趣味、選挙など)にどう結びつくか?

第3章テーマを進める上での心構え

・夢を持つ
・長続きさせる
・自己成長につなげる
・仲間を広げる
・お役に立つ精神
・自律的な市民革命
・無理をしない
・節目を付ける
・生きがい作り
・「俺が、俺が」は言わない
・専門家と素人が集団になり融合する
・『鼻唄交じりの命がけ』

第4章 具体事例(ケーススタディー)

テーマ『変革期におけるあるべき経営者を創る』 

【テーマの選定理由】

私は、衣料関係の製造販売を行なう会社を共同経営しています。前々より、松下幸之助さんの著作を読み、大変勉強させていただいておりました。そして京都政経塾ができて、ぜひともこの機会に、その考え方や原点をじっくりと勉強したいと想い、入塾いたしました。(入塾動機)
 私の幼い頃、父の会社が倒産し、債権者に追われたり、経済的に困窮し、明日食べる米も買えない経験をしました。昨日までなかよく遊んでいた友達から理由もなく無視されたり、かわいがってくれた近所のおじさんが急に遊んでくれなくなりました。毎日泣き続ける母の姿を見て、幼な心に、『倒産なんてもう絶対に嫌だ』という意識が植えつけられました。(志の原点)
 そうした体験をへて、今日経営に携わるわが身を振り返ると、何としても倒産しない会社、発展する会社の経営を、そして本当の経営を目指してきました。(問題意識、人生のテーマ)
 ところが昨今、急激な円高の影響で、韓国や中国などから、考えられないくらいの安い商品が流入し、経営的にも大変苦しい状況に追い込まれています。(自分が置かれた状況)。しかし、こうした状況は私の会社に限らず、私の回りの京都の中小企業の多くが、同じような状況に置かれ困っています。(周囲の環境、課題認識)
 こうした現状を打開しようと、JCの仲間と研究会をしたり、講師を呼んで勉強したり、色々本を読んでみたのですが、現実的に使えるようなノウハウはありませんでした。(今日までの努力)。その後、自分なりに色々と考えた結果、今日の状況の打開には、過去の経験や知識に囚われず経営の本質を追求し、それにそって自分自身の意識を変え、経営のやり方を根本的に変える必要があるのだと感じました。(テーマの自分自身のメリットと、今後への活かし方)
 そこで、京都政経塾の仲間と一緒に本格的に研究し、その結果を社会に訴えていけば、きっと社会はよくなるだろう、お役に立つだろうと想いこのテーマを選びました。(社会への貢献と改革の志)。このテーマの実現を通じて、経営の本質を自ら身に付けることを通じて、経営者としての自己成長につながり(自己成長に役たつ)、また実際の私の会社経営にも活かして行けるものと確信しております。(実利的なメリット)

【 テーマ概要 】 

 バブル経済の崩壊後、急激な円高が進行し、アジア諸国からの低価格商品の流入、また規制緩和の影響でかつてない企業間の生き残り競争が激化している(背景)。そうした中で経営者の多くは、過去の経験が通用しない苦境の中におかれている(社会的要請)。しかし、現実に即した具体的な処方菱はいまだ描かれていない(意義)。そこで本テーマは、こうした変革期をたくましく生き抜く100人の経営者に面談調査を行い(具体的な方法)、その調査結果をもとにしたインポジウムを開催することによって(成果・アウトプット)、変革期におけるあるべき経営者を生み出し(i1Rjl鼎)、日本経済のさらなる発展に寄与する。(今後の展望)
活動企画
【1】テーマ推進者 (跡)
○実行主体者 一 グループか個人か?
【2】推進日程 (いつまで、何を)
○中長期展望(その後の活動展開ストーリーづくり)
○短期目標(当面の具体的アウトプットをいつまでに出すのか?)
○中長期スケジュール表作成
【3】活動内容詳細設計(具体的に何をするか?)
○コンセプト明確化(スローガン・売り出しの目玉)
○目的の具体化(お客さんは誰で、何を提供し、どのように変わって欲しいか?)
○成果物および着地点のイメージ具体化(どうアウトプットするのか?)
○開発分析 (具体的に成果物をどうやって作るか?成果物開発までのシナリオ作り)
○必要資源分析 (そのために必要な口数、設備、資金、協力者、その他)
○資源調達計画
 人−オブザーバー−その分野の専門家を誰にするの?
   顧問(プロジェクト指導)~進め方の相談相手
   協賛先 一マスコミ、役所、政治家、企業、労働組合、団体
   提携先 一ボランティア団体、各種組織、
 金−事業予算と収入源
   主な収入源一自腹、寄付、協賛金、会員費、
   事業収入(出版、広告料、入場料、商品販売、サービス販売、ノウハウ提供)
 技術−情報システム、データベース
 情報−専門知識、事実調査、文献調査、ヒアリング調査、グループミーティング
 時間−助っ人、応援、ボランティア、外注
○推進上の課題のシミュレーションとその対策
○短期スケジュール表作成
【4】活動実施
○進捗管理 (相互チェックと互いのアイデアだし)
○中間フォロー
○計画修正
○修正スケジュール表作成
○成果物アウトプット
○反省と今後の展開検討

第5章 「汝自身を知れ」(自分自身の「現在一過去一未来」)

5−1 現在の自分を見つめ直す

○ 『自分ってどんな人間なの?」
○ 『他の人と比べてどうちがうの?』
○ 『今、幸せですか?』
○ 『自分にとっての幸福って何?』
○ 『自分にとって不幸せなことは何?』
○ 『自分に取っての得意・不得意は?』
○ 『自分に取っての長所・短所は?』
○ 『他の人から自分はどう見られているの?』(図1ジョハリの四つの窓)

5−2 過去の自分を振り返る

〇『自分の父親はどんな人ですか?」
○『自分の母親はどんな人ですか?』
○『自分の兄弟、姉妹はどんな人ですか?』
○『どういうところが似ているの(遺伝してきたの)?』
○『生まれてからこれまでどんな人生、生い立ちだった?』
○『今までもっとも興奮し感激したのはいつ、どんな時?』
○『今までもっとも充実感ややりがいを感じたのはのは?』

5−3 未来の自分に想いを馳せる

○『10年後、どんな自分でありたいの?』
○『それは、人物にたとえるとどんな人?』
○『死ぬまでにどんな人生を送りたいの?』
○『自分の葬式を想像して、誰にどんな弔辞を読んでほしい?』
○『あと3日しか生きられなければ何をする?』
○『では、あと1ヵ月なら.・・・.?』
○『では、あと1年なら.・・・.?』
○『では、あと5年なら、10年なら.・・・.?』
○『何が起こるかわからない人生。結局何をしますか?』
  『結局、あなたはどんな人で、
      何があなたにとって最高の幸福で、
        そして、これから先何をして
          どんな自分になりたいのですか?
             そしてそのことを本当にやりたいですか?』

第6章 自分を取り巻く世界をどう理解するか?

6−1 人間にとって幸せって何だろう?

   何のために人間は生きるのだろうか?(人間観)
○ マズローの欲求の5段階説
○ 『人間の7つの不思議』
○ 人間の7つの幸福

6−2 自分の回りの地域や社会でどんな問題が起こっているのか?

そしてそれは一体どうして起こっているのか?(世界観)
参照 「システムズ・アプローチによる改革の実践』
○ 西洋近代合理主義の行きづまり( P10)
○パラダイム転換の必要性
○ 一般システム論とその応用
○ システム思考とシステムズ・アプローチ

6−3 歴史はどう移り、これからどう変わっていくのか?

そして私たちは何をしていくべきなのだろうか?
○A トインビーの歴史観 ド
○A トフラー 『第3の波」     
(歴史観、文明観)
自分の回りの世界がどんな世界であり、
   しかもどんな問題が起こっているのか?
     なぜそのような問題が起こり、
        どうすればその問題の解決が図れるのか?
             そして、そのなかで自分は何をするのか?
                       (図6−2 人生行路図の拡大、深化)

第7章 目標の具体化とその実践

7−1 現状の調査

○ 自分が考えた問題は具体的にどういう問題なのか?
○ なぜその問題がおこるのか起こるのか?
○ それに対して、政治や行政はどういう対処をしているか?
○ 海外ではどのような実態であり、どういう解決策をしているのか?
○ それに対して日本ではどのような解決策を実施しているのか?
○ そして効果は上がっているのか?
○ 自分ならどんな解決策をするだろうか?

7−2 現場に飛び込んで体験してみる

○ 自分のイメージにもっとも近いと思われるところに飛び込む
○ 体験してみる。‐ 問題の要点(ツポ)とアヤがつかめる
○ そしてまた思索してみる。 どうしたらいいだろうか?

7−3 自分のプランを実行してみる

○ 今度は自分が主役になって、自分のプラン通り行くか試してみる。
○ 予想もしなかった壁にぶち当たる。
→ 本当の意味での『現実の壁』につき当たる。
○ 執念を持って壁をぶち破る。
→出来るという自信と問題の本質が理解できてくる。
○ 壁が破れたら、その壁はなんだったか、なぜ破れたのか?分析してみる
○ 分析してみたら、誰かに話してみる。文章やチャートでまとめる。
○ 他の人の失敗例を見てみてなぜ失敗したのか、突合せをしてみる。

7−4 社会的にどんな立場で継続して行うのか?(キャリア開発)

○ 誰に評価してもらうか(お客様は誰か?)
○ どう評価してもらうか?(お金?名誉?権威?ポジション?)
○ 世の中に同じ志の人入るの?(仲間を増やす)
○ 継続して行うためにどういう組織で行うの?(会社、サークル?)
○ どうやったら、もっと効率よく行えるの?(管理の必要性)
○ ライバルはいるの?(提携するか。競合するか?)
○ どうしたら、もっといいサービスができるの?(腕を磨く、発展させる)
現実に効果の上がる解決策が実現できるようになったか?
   他の人にできない自分らしいやり方か?
     そして社会にお役に立てているか?
      社会が変わりかけているのが実感できるか?
        そのことに対して手ごたえ、充実感を感じているか?
          このことをライフワークとして続けて行きたいか?

(図7−1 人生航路への船出)

第8章 立志(改革の草ダンゴ)

8−1 何のために生きるのか?(真ん中のおダンゴ)
8−2 社会に対してどうやって貢献するか? (上のおダンゴ)
8−3 現実にどうやって生活していくか? (下のおダンゴ)
8−4 人生を通じて追い求めるものは何か? (クシ)
8−5 そして、そのクシは天地自然の理法に合致しているか?
社会から期待されるようになったか?
  社会に対して責任を感じるようになったか?
    後には引けない、ハラをくくったか?
      なにがあってもやり抜く覚悟ができたか?
        本当の喜びを感じられるようになったか?

(図8−1 自分丸の船長の自覚と使命感)

第9章 私の志

9-1 自分自身の生い立ちを振りかえる (高校時代)

   ○家業の倒産とその衝撃
   ○その後の勤勉な努力と復興
   ○そして反省と疑問・・・・ここままでどうなるのか?
   ○自分の生い立ち曲線と、日本、人類の歴史がダブって見える
   ○やりたいことの方向が漠然と想起 (トフラー「第3の波」)

9-2 自分を取り巻く世界を理解する (大学時代前半)

   ○自分って一体どんな人間だろうか?
   ○「マズローの欲求5段階説」の衝撃
   ○人間って一体なんだろうか?(徹底して研究)
   ○「人間の7つの不思議」での広がり
   ○世界観、歴史観へ研究を進める
   ○和田教授からの指摘、システム論研究へのきっかけ

9-3 自分の専門領域の発見と深堀 (大学時代後半)

   ○システム論の研究
   ○ニューサイエンスの進展と文明論
   ○一般システム論とその応用 

9-4 実際の社会に応用 (卒業論文)

   ○卒業論文で、実際の経営の領域に応用
   ○「変革期におけるトップマネジメントに関する研究」 (資料1)

9-5 実践社会への導入 (政経塾入塾後)

   ○「知識は捨てろ!素直な心になれ」
   ○「頭で覚えるな。体で覚えろ。」
   ○湯河原でのカリキュラム検討会           (資料2)

9-6 自分のイメージのところへ飛び込む

   ○高度情報化社会の研究 (1年生の論文)
   ○アメリカ、メタネットでの半年間の研修       (資料3)
   ○自分のやりたいことのイメージがより明確になる
   ○他人の姿(失敗、成功、やり方のパターン)

9-7 実際に自分でやって見る。試行錯誤を繰り返す

   ○政経ネットで身内で実践
   ○松下でグローバルネットの実践(GANDAM)     (資料4)
   ○いくつもの壁を乗り越えながらも、決定的な壁にぶつかる。自分のイメージと異なる

9-8 やがてイメージに近い姿が創造できる

   ○ゴーストバスターズでの改革活動の実践       (資料5)
   ○やりながら武器を作る。
   ○そしてその都度コツを会得していく。
   ○理念が体得できるようになる

9-9 キャリア開発

   ○株式会社 ニューポートを設立
   ○起業家としての腹がすわる。使命感、責任感。

9-10 志の草ダンゴができ上がる