トップ / 改革理論 / 改革の志の立て方


第3章 テーマを進める上での心構え

レジメの2ページ、3章のとこを見てください。

今度の話は、実際にテーマを進める上での心構えです。

 まず、自分のやりたいことをやるわけですから、夢があります。それから無理をしないですよね。長い一生を通じて追っ掛けていくから。次の選挙までにそれをやらなきゃいけないとか、そんなの関係ないんですよね。次の作業なんか、またその次やりゃいいじゃないの。で、ダメだったら、反省してみて、その次また玉を仕込めばいいじゃないのってわけですよ。そういう継続性の物の見方ができるようになる。だから、長続きするんですよ。

 そのかわり、節目をちゃんと設けるわけね。今はこの卒業式にあたって卒塾論文を書くのに最大限、精一杯の努力をしようと。そこで節目をつけるんです。そしたら、また次の反省が生まれて次に行くと。そのかわり、期間を考えて自分の力の120%で押さえるんです。

 そこを無理に200なんていう目標を立てないこと。それが続けられたらいいんですよ。政経塾はインキュベーターですから、つまり孵卵器なんですよ。皆さん雛の卵みたいなもんで、これが成熟したら外へ出ていきゃいい。だから2年いようが3年いようが、ということになってくるわけですね。ですから、私が過去さんざん試行錯誤しながらやってきたノウハウを、皆さんに最高の効率を持って指導させていただきますから、普通なら何十年もかかるなんてことを1年か2年でやれるようになるだろうと思います。

 それが自己成長につながるわけですよ、やることが。節目、節目で、竹の節じゃないけど、どんどん成長していく。この節目を設けないと、結局ズルズルとなっちゃって、なんかおかしくなっちゃうわけです。

 最初の勢いだけ良かったけど、「竜頭蛇尾」で、あとはどないなっちゃったのか。そのことが人生のテーマを生み出して、生き甲斐ができるわけです。だからこのテーマというのは、たぶん皆さんが60歳を越えても70歳になっても、まあ健康で、頭が働くボケじゃないかぎり追求できるでしょうね、おそらく。頭を使いますからボケないんですよ。脳にどんどん刺激がいくから。

 で、そのことをやると、皆さん同志ができます。「朋友」という言葉を御存じだとおもいます。朋も友達、友も友達、両方友達なんですけど、意味が違います。どう違うのか。

 「朋」のほうははね、同門という意味で飲み友達とか雑談する友達でもなんでもいいんです。どっか、なんかメリットがあるから付き合ってるんです。

 それに対して「友」っていうのは、志を同じくして、本当に同じ釜の飯を食った、同じことを目指してやってきた、共通体験がある。つまり、志を持ったという、この友達っていうのは、実は人生のうちに3人できたら御の字です。なんでも腹打ち明けて話ができて、いつ会ってもすぐ入れると、本音の話に。京都政経塾の中でそういう友達が何人できるか。皆さん、がんばってください。おそらく志は皆さん、同じだと思う。世の中をよくしたいとか、お役に立ちたいとか、自己実現をしたいとか、そういう友達づくりの場にもなると思います。

 そのためには「俺が、俺が」って言わないことね。あるときは、自分のテーマには縦軸で突っ張ってください、縦軸で。横軸でみんなに協力するときは、己を殺したら全体に生きますから。

 私ね、政経塾に入塾したときに、ある先輩から、ラグビーやっておられた先輩で「オール・フォー・ワン、ワン・フォー・オール」っていう言葉を聞いて、今でも本当に噛み締めてるんです。「オール・フォー・ワン」全員は一人のために。「ワン・フォー・オール」一人はみんなのために。この精神があったらなんでも突破できるんだ、っていうお話だったんです。非常に私は感銘を受けました。たぶんそのことなんだろうなというふうに思います。

 ですから、私利私欲で走るとかいうんじゃなくて、純粋にこの3つの軸ね。まず「やりたいこと」を優先させ、その次に「本当にお役に立つのか」を考える。「評価されるのか」、「金が儲かるのか」、「報酬が得られるのか」それは最後に考えてください。そのかわり絶対に考えなきゃダメですよ。なぜならば再投資ができないから。この順繰りにやると報酬は必ず返ってきます。お金とかなんとか。そのことは、それを持ってるからエライんじゃないんですよ。次の資源になるんです。だから、必ず一番下も考えてください。財団とかなんかをつくりたいとか組織つくりたいという人は、必ずこのことをマネージメントの中に組み込まないと長続きしません。長続きしないということは、本当に貢献できないということですから。

 そのためには、お役に立つ精神というのが重要になりますね。お役に立とうという精神があったら、どんな専門家も知恵貸してくれますよ。自分が専門知識なくても。そうなると、専門家をここに呼んできて、あるいは皆さんに協力してくれて、いわゆる専門家と素人が集団になって融合できると。素人の強みっていうのは怖いものを知らないんですよ。見方が素直なんですよ。ユーザーで、お客さんなんですよ。行政じゃないんですよ。だから、素直に、なんで、どうしてって聞けるでしょう。

 これがプロだと、立場があってね、どうして、なんで、って…。僕が「P/Lってなんですか?」とか「決算書ってなんですか?」って聞いたら、経営コンサルタントとしてバカにされますわね。税理士としてバカにされますよ、そんなこと聞いたら。素人で何も知らなかったら「なんでですか?」って聞けるでしょう。意外に専門家も知ったかぶって、知らないことを言葉だけで言ってるケースがあるんですよ。で、なんで、なんで、なんで、って聞いていったら、全部化けの皮が剥がれますわ。いずれにしても専門家と融合するといいものができます。

 で、自律的な市民革命をしようじゃないか。さっき言った、いわゆる提起型っていうやつね。

 そして最後、これが重要です。「鼻唄交じりの命がけ」でやりましょう。なんでも楽しくやらなきゃダメです。やってるときは、もうルンルンでやりましょう。改革なんていうのは泥臭いことですからね。まあ、ゲームみたいな感覚でやらなきゃダメです。ただし、これがありますからね、命がけです。こういうことをやっていけば、非常にいいテーマができるし、自分にとっても人生が開けるし、生き甲斐があるし、興奮できる最高の人生が得られるということで。

前へ